延岡城跡の石垣を背景に広がる一夜限りの幽玄美
「天下一」とは、安土桃山時代から江戸時代初期にかけ、「天下一」の称号を授けられた能面作家のことで、延岡市には「天下一」の手による能面30点が所蔵されています。
「のべおか天下一薪能」では、この「天下一」の能面を使用し、能楽界最高峰の演者達が舞うもので、日本を代表する薪能となっています。
秋の日が暮れ、篝火がともり「千人殺しの石垣」が漆黒の闇の中に浮かびあがり、遠くから聞こえる太鼓の響きと同時に天を突くように響く笛の音。一夜限りの幽玄の世界へと観客を誘います。
のべおか天下一薪能の上演の様子
「薪能」は、今では一般に夜に篝火を焚いて演じる能のことをいいますが、もともとは平安時代に奈良の興福寺において、2月に行なわれていた「修二会」という行事に付した神事・猿楽(能)をさすものでした。
イベントとしての「薪能」は、昭和25年に京都の平安神宮で行なわれる「京都薪能」が始まりとされています。
自前の能面を使って行なわれるのは、この延岡と広島・厳島神社の2箇所のみで、厳島神社が「祭礼」として行なわれるのに対し、「のべおか天下一薪能」は「地方都市のイベント」として行なわれている唯一の催事です。
江戸時代の諸大名には、能面、装束類など能の道具を数多く収集した者もいましたが、明治に入り、経済的な理由から、その多くが手放されているのが現状です。
現在、これほど充実したコレクションを保持しているのは全国的にも珍しいと言われています。
「能楽」は、2001年、ユネスコの「世界文化遺産」に認定されました。また、「のべおか天下一薪能」に出演された先代の片山九郎右衛門氏は、同年「人間国宝」になられました。かがり火に浮かび上がる千人殺しの石垣を背景に演じられる能は、観客を幽玄の世界へといざないます。
インフォメーション
住所 | 延岡市東本小路131-5(延岡市民協働まちづくりセンター内 のべおか天下一市民交流機) |
電話 | 0982-33-0248 |
URL | http://www.nobeoka-tengaichi.jp/ |
備考 | 城山公園(延岡城址) |
マップ | |